人の死にまつわる話
死の瞬間
昔から、私は「死」というものに恐怖心を抱いていた。
人間はもちろんのこと、動物・虫に至るまで、死んでしまったものに触れることができなかった。

それはどうしてなのかわからない。
「命」というものが抜けてしまった亡骸というだけの存在に、何か崇高なものを感じていたのかもしれないし、また「死」という局面そのものが自分にとって未知の世界、ということだからかもしれない。

そんなわけで、身近な人の死へのカウントダウンが始まりつつあると聞いたとき、震えてしまってどうしていいかわからなかった。



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