人の死にまつわる話
気がつけば、父は息をしなくなっていた。
私と母は、
「お父さん!今笑ってたじゃない!頑張って!」
と叫び続けて、一生懸命手をさすった。
何度も何度も叫び続けたら、少しのどが動いた。
そしてまぶたもわずかに動いた。

叔父が売店にいた妹たちを連れてきてくれて、みんなで頑張れ頑張れと言いながら手を代わる代わる握った。
しかし、父はもう動くことはなかった。

当直の先生が病室に現れて確認をし、「残念ですが…」と告げられた。
お昼過ぎ、12時30分のことだった。
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