人の死にまつわる話
何しろ食事が取れないので、心身ともに栄養失調と脱水状態になり、再度入院することになった。

入院するといってもやることは点滴を付けて一日寝ているだけ。
病院は癌の専門病院なので、まわりは程度は違えど癌の患者さんばかり。
4人部屋では夜になるとお菓子をボリボリ食べるもの、抗癌剤の苦痛でうめいているもの、さまざまだった。
この頃音に敏感になっていた父は、この物音が耐えられずに耳栓をしたりしていたようだが、それでも耐えられなかったらしい。

私も私でなかなかお見舞いに行く時間も取ることができず、入院中に行けたのは1回のみ。それでもそのときは自分で起き上がることもでき、しばし話をすることができたので、まだ多少気分がよかったのだと思う。

父はその後、病院に退院を懇願し、もうすぐお正月になろうというときに退院をした。
早くから私の年末年始の帰省はいつだときいており、孫が一同に揃うお正月が待ち遠しいようだった。

私はせめて母の負担が軽くなるように…とおせち料理の手配をし、お酒や子どもたちの写真などのお土産を持って実家に趣いた。
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