人の死にまつわる話
実家から戻った日はもう日付も変わろうかという時刻に自宅に到着したため、いつも入れている着いたよの電話を次の朝にしようとその日は就寝した。

3日の朝、私の携帯に着信があった。
父からだった。
「ちゃんと着いたのか」と確認したかったのか。
それとも私たち一家が帰ってしまって寂しかったのか。
きっとベッドで横になりながら、自分の携帯のボタンを押したのだろう。
私は連絡しなかったことをわび、また週末に行けるように段取りを付けるからねと言って電話を切った。
それが父ときちんと会話できた最後の時だった。
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