REAL gray


合格発表の日。


「何?ハル泣いてんの?」
「だって……ッ」



友達が私に駆け寄って言った。



「まだ落ちたわけじゃないんだから!」

「遥飛だったら絶対受かってるから!」



そして、次々と「大丈夫」と言う。

結果も知らないのに、そんなこと言わないで。

どうせなら……
「ハハハッ!辻泣いてんのかよ!馬鹿でぇ〜」


そう、こんな風に笑い飛ばしてよ



って。



「優司ッ!馬鹿とか言うなよ。遥飛が可哀相だろ」

「わーったよ!ごめんな辻、悪気はあったんだよ」


と言って、優司くんは私の頭を撫でた。

優司め、
人の気持ちも知らないで……



「何で泣いてんの?」

「だって、落ちたら……」



あれだけ皆に応援してもらったのに、


それなのに――







「52番はありません」



私は、落ちた。



「辻は英検も漢検も持ってるし、小論文も上手かったから完璧に受かると思ってノーマークだったんだ。

辻以外の前期受験者は全員受かったからな。
M高なら後期で辻は楽勝だし、オレも気が楽だ。


落ちたのが辻でよかったよ」




――ナニソレ?



「辻なら絶対受かるから、安心しろ」



あー、やば。
泣きそ……



「はい。頑張ります」



明日、皆にどんな顔して会えばいい?


いっぱい応援してもらったのに、こんな結果なんて。
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