REAL gray

残酷にも、朝は来た。


耳障りな雀の囀りで、私の眠りは終わりを告げた。
とはいえ、私もそれなりにショックであまり眠れなかった。



昨日口が軽い友達に、落ちた事を報告した。

これで学校へ行っても合否を問われる事はない。



クラスの中で落ちたのは私だけ。


誰も分かってくれないんだな。



この悔しさと、孤立感からの寂しさと――。






私には、放課後いつも優司くんを含む友達数人と、しばらく話してから帰る習慣があった。


やはり怠けてても受験生、必ずしも出て来る受験の会話。



「はぁ……」

無意識にため息がでた。



「辻どうした?」


優司くんが話しかけてきた。


「ちょっと疲れただけさ」


疲れたのは本当だ。
特に精神がボロボロだった。

皆に励まされる度に余計虚しくて、すごく悔しくて。



「辻落ちたんだって?」



優司くんのその台詞に周りの空気が凍り付いた。



「優司、それ禁句だから」

「頑張れよ遥飛」



またコイツも、勝手なこと言いやがる。



私が無理矢理笑顔を作り、返事をしようとした時。
優司くんが口を出した。


「辻は十分頑張ってんだろ」





その言葉は、私を認めてくれた気がした。



「お前らこそ辻に失礼じゃん?」



優司くんは、太陽のように眩しい笑顔をこちらに向けた。


その時私は、

面をくらった。




女の子が大好きで遊び人。
そんな優司くんを好きになるなんて、絶対ないと思っていたのに――。




「作り笑いやめなよ」





私は優司が好き、って気付いたんだ。
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