REAL gray
それから、優司くんと何かある度に少しずつ「好き」が大きくなった。
後期選抜当日。
私たちの中学はM高を受験する人が多かった。
受験生たちはいくつかの列に分けて並ばされた。
私はかっちゃんと広崎と優司くんと一緒だった。
広崎は私以外の女子には敬語を遣う、何気に失礼な奴だ。一応名前にはさん付けしてくれる。
「遥飛、昨日勉強した?」
「かっちゃん……、私がしてないと思って?」
「辻の場合、ひとりで睡眠学習だろ」
「要は寝ててやってねんだな…」
「ばれたか!優司くんもひとりで睡眠学習でしょ?」
「ばれたか!」
「辻さんと優司は寝る事だけは必死だもんな」
「うるさいっ。寝てる時は至福の時なんだよ!」
「オレは食べてる時も幸せだ!」
「これが受験直前の会話かよ…」
かっちゃんと広崎は、正直呆れ気味だった。
緊張でアップアップしてたのを隠していただけだったのだけど。
受験する教室に移動して席に着いた。
よりによって1番前、しかも優司くんの隣。
そして、前期選抜の小論文の時と同じ席。
やべぇ。
じわじわと前回の恐怖が沸いて来る。
体が震えてきた。
「………ッ」
鳥肌が立ち、私は体をさすった。
席を確認した後、もう一度廊下で待機した。