REAL gray
廊下で優司が私の肩を叩いた。
私は思わず跳ね上がった。
「大丈夫かお前……、寒い?」
「あ、ううん、平気……」
優司は隣で、私が震えていたのを見ていたんだ。
優司は私の頬を軽く抓った。
「そんな顔辻らしくねぇぞ」
そんな優司くんの小さな事のひとつひとつが、私の心を動かしていた。
私は緊張が解れ、いつものようにリラックスして試験に臨むことができた。
――優司くんは凄いなぁ。
どうか、優司くんとM高に行けますように。
私が珍しく、乙女チックな願い事なんかして。
その願いを聞いてか
「5組は受かったぞ!」
卒業後の合格発表の日に、元担任から電話があった。
私は、優司くんと同じ学校で過ごせる事に幸せを感じた。
優司くんの声が毎日聞ける、優司くんの姿を毎日見ることができるんだ。
こんなテンションだったから、告白なんかしちゃったんだろうな。