REAL gray
なんとか間に合った電車の中は、既に沢山の人がいた。日曜日だから当たり前か。
座れる席など何処にもなく、私たちは仕方なく立っていた。
しばらくして、優司は言い訳を始めた。
「駅までの道がイマイチわかんなくなってさ、迷子になっちゃったんだよ。
しかも急いで来たら携帯をアスファルトに落とすし。地球の力こえー!」
地球の力って……、引力な。
――いや待て、こんな細かい所気にする奴じゃないよなぁ私。
中学の時から好きだった優司と夢の初デートで、緊張がマックスなのか?
自分は落ち着かないのに、優司は相変わらずで焦ってるのか?
オイオイ、これからどうすんの?
「ぅわ…!」
「危なッ!」
列車は駅に急停止。
私は慣性に逆らえずぐらついた。
他人にぶつかると思った瞬間、優司の腕が私を支えてくれた。
これは本当にどうすんの?