REAL gray


映画館に入った。


久しぶりの雰囲気に私の胸が踊る。


春休み中は、前期試験合格者の課題を手伝わされた。おかげで「遊び」といってもほとんど課題と戦っていた。


――後期試験で合格して良かった。

なんて、都合が良いことを考えた。



「何観る?」

「優司くん待つのめんどいでしょ」

「辻もな。これは?」




優司が指差したのは小説が原作の映画。
その小説は大ベストセラーで漫画やアニメにもなっている、野球と男の青春を描いたストーリーだ。


「面白いの?」

「知らん……。でも時間が1番よさ気」

「やっぱり待つのやなんだ」



私は待ったって良かった。




優司と一緒なら。





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