REAL gray
優司が家に来るのは確か2回目だ。
前回は他の男友達もいたし、好きになる前だった。
感情が「好き」へと変わるだけで、こんなにも気持ちが高鳴るものだと知った。
「すげー!漫画いっぱいある!」
「オタクでごめんね」
「全然いい!」
テンション高ぇーなぁオイ。
とか言う私もテンションは高い。
夢にまで見た家デートだ。
喜ばずにはいられずまい。
何故、映画を観に行かないのかというと、優司が財布をなくしたからだ。
「お金がかからない遊びない?」という優司の問い掛けに、答えた結果がこれである。
私たちは漫画を読んだり、話したりしたながら、2人の時間を過ごした。
すると、優司がちらちらと私を見ているのがわかってきた。
「……何?」
顔に変なモノでもついているだろうか。
「さっきからその……目のやり場に困るんですけど……」
優司は私の胸を指した。
今日はデートだと思って気合いを入れていた服装。優司を誘惑させようと胸元を開けた。
しかし、流石に貧乳だと恥ずかしい。ない胸は隠しておくべきだった。
私は恥ずかしくなって赤面し、胸元を隠した。
「それらは俺を誘ってるの?」
それら?
抵抗する間もなく優司は私に抱き着く。
こんなに近くで優司を感じたのは初めてだ。
「その顔反則。……辻、可愛い」
「えっ……」
優司の手が私の腰に忍び寄る。
「なぁ!あっ……優司くん、やめ……ッ」
「やーだ」