REAL gray
「早く文化祭の準備してー!」
そんな叫びが教室中に響き、そこにいた全員に共感をもたらした。
うなだれるような梅雨のじめじめした空気が、生徒たちを翻弄する。
それに引き換え私の方は気分が良かった。
「今度の休み勉強教えて」
とメールが来たのはついさっき。
次の休みは2回目の自宅デートである。
「優司くーん」
心の中でにへらと愛しき人の名前を呼ぶ。
「なにニヤニヤしてんの?いい萌えでもあったか?」
奏が腐った質問をしてくる。
「萌えじゃないけど」
きっとこの時の顔もまた、へらへらしていたに違いない。
今度はどんな進展があるだろう。
考えたらにやけてしまって、もうテストどころじゃなかった。