REAL gray
かっちゃんと梅ちゃんが近づいて来たのが、気配で分かった。
「優司すごい!よくこんな凄いの見つけたじゃん」
「お、ホントだ……って、え!?」
かっちゃんが驚いた。
まぁ、無理もない。
「優司、なに遥飛泣かしてんだよ!」
何故か私の目には、涙が溢れていたのだから。
「違っ、くないかも……」
「はるちゃーん……、優司に何されたの?」
私は首を横に振った。
確かに、この涙のスイッチを押したのは優司くんかもしれない。
でも1番はおっちゃんだ。
今まで、ずっと一緒にいたのに。
少し前まで、大好きがあったのに。
全部「嘘」だったの?
全部「夢」だったの?
どうしようもない切なさが胸に込み上げ、それが涙に変わって溢れた。
「大丈夫!そろそろ帰ろう?」
涙を拭って、出来るだけ明るい声で言った。
かっちゃんと梅ちゃんには安堵の顔が浮かんだ。
ただ、優司くんの顔には険しさが残っていた。
私たちは、かっちゃん家の車へ戻った。