REAL gray
それから休みも明け、何も変わらずいつものように学校へ通った。
いや、ひとつだけ変わったモノがあった。
「優司!」
私が呼ばれたわけではないのに、つい反応してしまう。
「つじ〜、ハサミ持ってない?」
名前を呼ばれただけでドキッとしてしまう。
気がついたら、優司くんを目で追っている。
この感情はナニ?
スキ?
でも多分、まだ私はおっちゃんが好きだ。
私と別れた後、おっちゃんが元元カノとの険悪ムードを穏やかにした。よりを戻したわけではないが、今まで嫌っていた元元カノと私より親しげにしている。
それを見ていると、傷が疼くのだ。
今まで堪えてきたモノが、溢れてしまいそうなのだ。
そして、高校受験のシーズンになった。
私は、前期選抜の自己推薦でM高を受験した。
私は人との接し方が人一倍下手だ。
だから、前期本番まで面接の練習に力を入れた。
英検や漢検、面接で有利になるという理由で忙しい中3級までとった。