あかねいろ

苦笑い。

『本能的ってのはあたしも感じます、けど…』

クスッと柔らかい笑い顔をそのままに咲は続ける。


『あたし…大斗と寝ることあるよ。あたし達はバカだから、お互いを保つのに…ポッカリした穴を埋める為に…そうする事しか思い付かない。だからそれを人にも隠さない』


はっきり、言えてしまう咲さん…

それだけ強い想い…。

大斗も同じ事…前に言ってた…

でも…なんだかひどく寂しい話しな気がするよ…。


『でも、大斗は咲さんが好きで、咲さんは大斗が好きなんじゃないんですか?あたしは咲さんと大斗は好きで繋がってるって思います…ちがうの?』


咲さんはそんなに切ない顔をするのに、違うの?


『好きよ。でも好きじゃない。意味が違う』

咲はただ首を振る。


わからない…そんな気持ちはわからない…。

けど…もし、そうだとしたなら…


『じゃぁ、大斗はキスしたりエッチしたりする時"好き"だって思ってしたことないの?』


大斗は「人を好きになる気持ちわからない」って言ってた…。

そんなの悲しすぎるよ…


『そう、だね…sexについてはそうかもしれない…。でもアイツ、だからキスは…』

『おーい咲ー!!』

大斗の声で遮られてしまった。

『何よ?』

『駐車場空いたから車動かせって、お前呑んでるんだから車置いてくんだろ?今マスター手空いてないから、それぐらい自分でやれ』

『もうっ大斗がやってよ』

『だから、できるかっバカ』

咲は「はーいはい」とブツブツ呟きながら出ていった。


大斗は夕陽の元に来ると

『咲に変な事言われなかった?』

と苦笑いしながら問いかける。

『言ってない。昔の事…少し聞いた』

『そっか』

と一言大斗は答える。

『そうだ、お前、アイツ小田切、なかなかイイ男じゃねぇか?』

と優しく話しかけた。

『そうでしょ…?あはは。しかも何を突然。でも、なんか…テレる…』


拓ちゃん…

拓ちゃん…?


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