あかねいろ

『神崎大斗?!いい度胸だ。女の子に何したんだ?』

楽しそうに笑いながら大斗に近づいていく拓巳。

『げっ?小田桐テメェ夕陽の肩持つ気か?お前は俺に感謝する身だろ?』

『お前は先生にそんな口聞くなよな?』

そう言って大斗の頭をグリグリ。

『イッテー!ふざけんなっ!!先生だろ?!生徒いじめで訴えてやるぞ!!』

『僕はただの大学生♪前に大斗が自分で言ったよなぁ??』

拓巳は明るく答えクラス中がどっと沸き上がる。


拓ちゃんったら…ちょっと咲さんみたい…


夕陽もみんなに交ざって笑った。

『夕陽っ覚えてろよっ?!!』

大斗が不機嫌に言う。

『バカ?あたしは間違いなく拓ちゃんの味方よ♪』

こうして拓巳の最後の授業は無事に幕を閉じた。


――――
――――――


『みんな!文化祭来るからな』

最後の挨拶をする拓巳…

『拓ちゃん?!』

教室を出ていく拓巳を呼び止めた夕陽。

『夕陽、ありがとな』


この笑顔はいつでも癒しだよ、拓ちゃん…


『文化祭、ゆ、結衣さんと来て…?!』


「あたしは大丈夫だよ」と伝わるように、気持ちを込めた。


拓巳はにっこり笑って少し切なさを交えて頷く。

夕陽は笑顔で席に戻った。


きっと…もうあたしは大丈夫。

ゆっくりでいい…

ゆっくりでいいから・・・

少しずつ、想い出にしていこう…

前向きに…ね?!

うん。そうしよう。


そんな事を思っていた夕陽、話している2人を見て小さく微笑んでいる大斗には気付かなかった。

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