あかねいろ
『今日はずっと一緒にいようね』
咲が満天の笑顔で言った。
大斗は柔らかく笑う。
― ― ― ― ―
『おぃ!!咲!!次はあれ乗ろうぜ!!』
いつの間にか大斗は子どものように騒いでいた。
『バカ!!何回落とす気よ?あのジェットコースター、1回乗ると7回も落下するのよ?!!もう3回目じゃないの!?合わせて21回!!殺す気?』
『おぉー!!殺してやろう♪いいじゃねぇか?遊園地に来たいって言ったのはお前だ!!かけ算出来て良かったな』
大斗は咲の手を引いて駆け出した。
『あたしは大斗と死にたくなーい!!だって昔は乗らなかったじゃないのっ!!』
と叫ぶ咲に
『テメェッ!!喧嘩売ってんのか?あの時は身長たらなくてジェットコースターなんて乗れなかったんだブス!!』
『アンタ語尾にいちいちブスとかバカとか付けるの止めなさいよバーカ!』
キャハハーと大斗に軽く蹴りを入れた咲は駆け出した。
そして、振り向く。
いつか夕陽が「吸い込まれる笑顔…」と思った顔で…
『ねぇ?大斗ぉ…?サンタって大雪と今日みたいな天気が良い日と、どっちのほうが来やすいのかなぁ?』
視界には澄んだ青空に負けないくらいの綺麗な咲の顔。
『サンタなんて居ない』
『もぅ!!夢のないこと言わないっ!!大斗がサンタだったらどっち?』
咲は構わず続ける。
『あー?俺は今日みたいな日が良い。寒いの嫌い』
『アハハー。大斗らしい♪じゃぁ大斗はサンタになれないじゃないの』
『当たり前だ俺は人間だ』
『嘘ぉ!!変態大国の大魔王じゃなかったの?』
『あぁそうだった!お前がそうさせたんだよな?ブス!!』
と返した大斗は咲を追う歩みを止め、
ふと立ち止まって…
『咲ちゃん…僕、早く人間になりたい』
と方眉下げて言う。
咲は大斗に近づいて彼を見上げる。
『あたしも…』
そうして咲が視線を外した空には飛行機雲が走っていた。
天気は快晴。
みんなの元にサンタは来るのだろうか?