あかねいろ

――

気が付くと…夕陽は俺の下に居て…

自分が押し倒してたんだと後から気が付いた…

咲が出ていってから…どれくらい経ったんだ…?

その間、余りにも朦朧としていたから、よくわからない…


ただ、夕陽が来たことで…

止まっていた時間が一気に動き出した。


今の時間に追い付いて還ってくると、今度は夕陽の瞳に捕まって…

また時が止まってしまった。


プツと糸が切れるように、俺はそのまま夕陽の上に落ちていった…


パスッ…


彼女の胸の上に落ちた俺はベッドに横たわったまま、優しく抱き締められていた。


夕陽の心臓の音が聞こえる…

頭を撫でられながら、彼女のもう片方の手は自分の背中に回されていた。


俺は…何をやってるんだ?

でも…このまま成るように…

身を委ねてしまいたいと思った。


夕陽の身体がじんわり暖かくて…

投げやりではなくて、このまま浸って居たいと思ってしまったんだ。


『ひ…大斗?』


夕陽の小さな声が、ぼーっとしていた世界から俺を引き上げてる気がした。

暗闇が少し明るくなった気がした。


『昔、身長…伸びまくるから、恐くなって…煙草吸い出したんだ…』

胸から顔をあげると、案の定"いきなり何?"という様子で、きょとんと俺を見つめる夕陽…


気付いたら…


その唇にキスをしていた。



また無意識。

夕陽にキスをする時は、いつもした後に、その事に気が付く…


―――――


「ゲホッゲホッゲホッ!!」

「うゎ!!あんた何事?この煙草の量。」

「12箱吸ってみた…」

「いきなりやりすぎよバカ!!」

「だって…これ以上でかくなったら俺、地球防衛軍に狙われる…」

「あははー!あんた真面目な顔してアホなこというね♪煙草吸ったら背が伸びないなんて、きっと嘘よ。それに地球防衛軍なんていないわ」

「そうなのかっ!!」

「はいはい。本当に何も知らないよね。バカすぎっ。でも煙草吸うのはいいけど、1日1箱くらいにしとけば?お金かかるし♪」

「健康じゃなくて、金の心配?」

「当たり前よ♪」


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