あかねいろ
ダイニングの扉を開けた。
『おぉ♪ひぃちゃんいらっしゃーい!!』
恭次が明るく挨拶をくれた。
『お邪魔します♪』
『片桐さん、電話ありがとう』
雅が挨拶。
『こちらこそ、ありがとう』
夕陽はにっこり返した。
『ひぃちゃん♪』
『あんちゃん♪けんちゃんも久しぶりぃ』
杏と健吾に挨拶をした。
あれ?
『大斗は?』
まだ来てないのかなぁ?
『あぁ…大斗はさっき、ぼーっと来てソファで寝てるっぽい…?なんも音がしないから』
とリビングを指差して苦笑い。
『そうなんだ。』
なんだ…気合い入れてきたのに…
寝てるのか?
タイミングずれる…
『なんか大騒ぎさせちゃって…ごめんね』
とみんなに苦笑で言った。
しばらく、用意をしながら、たわいもない話をしていた。
― ― ― ― ―
『きょーじー水〜もっと』
すると大あくびしながら寝ぼけた様子の大斗がカップを持って歩いてくる。
そして、ぼけーっと正面を向くと…
ゴンッ!!
『イッテェッッ―っ!!!』
持っていたカップを落として、それが足に直撃した。
プッ…
『全く…間抜け…』
夕陽は大斗に向かって呟いた。
顔を上げた大斗は夕陽をじっと見て…
―…
…
なぜか少しの間を開けて
『水』
とカップを夕陽に押し付けて、「顔洗ってくる」とフラフラ出ていった。
ん?寝ぼけてる…?
― ― ― ― ―
ちょっと…待て
俺…
変だ…ヤベェ…
…―ッ!!
『っうッわあぁぁああッ!!』
大斗は独り何を思ったのか洗面所で叫ぶ。
なっ何ぃーッ?!
みんなはきょとん…
洗面台から大斗の大声が聞こえた。
何事?
大斗は「落ち着け…俺…平常心だ」何やらブツブツ焦った様子で戻ってきた。
『ちげぇよ…俺、じぃに…電話…番号わかんねぇ…夕陽携帯貸せ!!』