あかねいろ

― ― ― ― ―


『ビールないね、買ってくるよ』

食事が終わり、みんなで話をしていると恭次が言った。


『恭次くん、あたしも行く』

夕陽は南深に軽く断ってから後に続いた。


― ― ― ― ― ―


『咲ちゃん、ニューヨークに行っちゃたんだってね…』

星が出ていない空を見上げて恭次はポツリと言った。


『うん…何か、何て言ったらいいのかな…。色々あって胸がいっぱい…』


夕陽も空を見上げた。


『昨日、大斗の家行ったんでしょ?まだ、すごい状態だった…よね?あたし、別れの場に居合わせたの…。あたし、大斗に…どうしたらいいかなって思って、恭次くんと話したかったから…』


夕陽が恭次の後を追ったのはこの為だった。


『大斗の事…心配?』

サラッと恭次は聞いてくる。


『う…ん…。咲さんにお世話になったし、大斗と咲さんの繋がり…知ってたし』

『そうだね…でもさ、見守ってようって俺、思うんだ。アイツ…中学ん時とは変わってきてるし…』

『そう…?』


『それに…今はひぃちゃん居るから平気じゃない?』


『へ…っ?あたし?!』


びっくりして恭次くんを見ると、ただ笑顔だけで返されてしまった。

ど、どういう意味よっ…??


― ― ― ―


いつの間にかコンビニに着いて、お酒やお菓子をカゴに入れていると

『恭ちゃぁーん、煙草ないのぉー』

と大斗が入ってきた。

『…恭次も夕陽も居ないと、携帯借りれないから…来ちゃった…』


恭次は何を思ったか、またクックックと笑っていた。



コンビニの帰り道を3人で歩く。


『大斗は中学ん時どうでもいい事で家出とかしてたんだよ…』

『何それ?』

興味津々夕陽は聞く。


『何か、冷蔵庫に入れたプリンを咲ちゃんが勝手に食べたとかなんかで…喧嘩して…バカバカしいでしょ?』

『プリン…で家出?』

『大斗は携帯すぐ壊すからすぐ音信不通だし、こっちは超焦ったからね、後々理由聞いて呆れたよ…プリンだよ?プリン!』


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