あかねいろ

『大斗って、本当にあたしの事、女としてってか、人として意識してないよね?』

「いいけどさぁ…」と付け加える。


『今さらだろ?それ…。それより早くご飯作ってよ…?…おやすみ…』

そう言うと大斗は瞳を瞑ってしまった。


『ねぇ?大斗ってばっ?!』

慌ててソファに駆け寄る夕陽…


はぁぁ…まぁいっか…

相変わらず、だし…

気持ち良さそうな顔で寝ちゃってるし…


午前中の柔らかい日差しを受けた大斗の整った顔が、必要以上に綺麗に見えてしまった。


『ほんと…勝手…』


ため息ひとつき、夕陽はキッチンに向かった。


あたしもお腹空いた…

なんか…本当に大斗のしだす事…

調子狂う…


― ― ― ― ― ―


『…―!!バカ??ちょっと?!大斗ッ?!!』


うるせぇーっ?誰だよ?


ゆっくりと瞳を開ける…


『どこ?ここ?』


思わず独り言…




あぁ…そうだ、俺…


『起きた…?』


『いつの間にか、お前ん家来てた…』


夕陽は「アンタ何言ってんの?」と言う顔で俺を見ている。


『何か…気付いたら…』


いや…昨日寝てなくて、フラフラで、

本当に気付いたら来ていたんだ…


『だってお前んとこ…居やすい…』

『はぁ…?意味わからないからね…寝ぼけてんの?もぅ。まぁいいや、ご飯できたよ…』

呆れて言いながら、夕陽は目の前にスパゲッティを出す。


そうだ…っ飯作れって言ったんだった。


大斗はさっきの記憶が虚ろに思い出されてきた。


『いただきます』

パチンッと手を合わせて食べだした。


『そうだ!お前今日夜平気?』

『あっうん』

『適当にお前の友達呼んでこいよ。9時に店。』

『あっうん』

『つーか、「あっうん」しか言わないの?』


夕陽は「そんな事言われても…」と言うように今度は俺を見ていた。


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