あかねいろ
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「これ書けって持ってこさせられた。」
「恭次♪俺作文苦手♪」
サラリと言った。
「えっ♪何々?卒文?」
咲が横から覗き込む。
「きょうちゃん困ってるでしょ?もぉっ大斗書かないなら、じゃぁ咲ちゃんが書いちゃおー♪」
と鞄からペンを取りだし、紙を恭次から奪うと勝手にスラスラ書き出した。
「オィ!!勝手に書くなって―…っ!!って何だこれは?!」
「何って、あたしの目標♪」
嫌そうな顔で咲を見る。
「バカね?卒アルは作文じゃなくて良いのよ♪あんたの目標でも書けば?上空けといたし♪」
と空欄を指差してにっこり
「そうなのか?!」
咲は恭次に「しぃ♪」とウィンク1つと人差し指を口に当て、もう片手でVサインをした。
恭次も楽しくなってきて咲にVサインを返した。
それには全く気付かなかった…
― ― ― ―
「書けた!!」
【天下統一!!】
ぶっッアッハハッハー!!!
恭次と咲が同時に吹き出す。
「あんたがなぜ高校受かったのか不思議よ?何この目標…」
しらぁーと咲がこっちを見てきた。
「オメェの文も変だろ?つーか、これこのまま印刷されるのか?」
「あははー♪もう大斗はこれでいいよ!!咲ちゃん最高!!俺名前書いとこ♪」
【3ねん3くみ♪かんざきひろと♪】
と平仮名とハートマーク入りで恭次名を入れ紙を持って帰った。