あかねいろ
『違うけど…』
愛想笑顔を忘れて素っ気なく返してしまった。
『そうなんだ♪よかったぁ。じゃあこれ貰ってください。中の手紙読んでね』
その子は、チョコレートを無理やり渡すと走り去ってしまった。
はぁぁ…また無駄なものが増えた。
しかもなんなんだよ?
あの女…俺と夕陽の事詮索するな。
だりぃな…
こうなったらガタガタ言われる前に全部もらってしまおう…
愛想笑いで適当にあしらって本来ならすぐの屋上までの道のり…
色んな人に呼び止められるので、かなりな時間をかけて、やっと到着。
その頃にはメデタク両手いっぱいに抱えていた。
不機嫌にドアを開ける。
そして、持っていたチョコレートを朝方、恭次が茶化して渡してきた紙袋に放り投げた。
ナイスシュート♪
机の上や下駄箱に入っていた大量のチョコレートを恭次と紙袋に入れて先に屋上に置いておいたのだった。
それにしても俺様、相変わらず、すげーな。
しっかしチョコレートを貰ってこんなに嬉しくない年は初めてだ。
何でだ?
そもそも、あいつが恭次に渡して俺にないはずがない。
ムカツク…
俺は食べ物にはシビアだ。
こんな呪いがかかった送り主不明なモン食えるか。
大斗は自分でも良く分からないイライラのまま、早弁をしようと、夕陽が持ってきた弁当を開ける…
!!
『マジ…』
お弁当箱には、いつものような中味は入っておらず…
『チョコレート…』
思わず、独り言を言ってしまった。
チョコレートプリンとシュークリームが箱に似合わず、飾りもなく入れられていたのだ。
絶句…
そのまま後ろに倒れ込み、誰もいないのに腕で顔を隠す。
耳まで真っ赤である…
ヤベェ…
なんか…なんだコレは…
変…
暫くするとまた、起き上がりお弁当箱を覗く。
無言で中を見つめる。
…
……
…
『ひろとー?!』
びくっ
振り向くと呆れ顔の夕陽の姿。