あかねいろ
『もうお昼だけど…どんだけ教室に帰って来ない気よ?』
『もう昼?!』
俺は…いつまで弁当箱眺めてた?
頭おかしくなった、ぽい…
『何?寝てたの?―…ってゆうか…』
夕陽は大斗のきょとんとしている姿を軽く流して溢れかえる紙袋を見て
『ギネスでも載るつもり?おめでたいね…』
と嫌味っぽく言った。
『知るかよ。どうせ燃やすんだからどうでもいいよ』
『はぁぁ?何言ってるの?!』
『バレンタインのチョコレートは、恭次と数競ってから、咲がキャバクラのお客に横流しで渡すか燃やすかのどっちかだし』
『ひっっどーっ!!何それ!!』
『じゃぁ、お前がこの誰がくれたかもわかんねぇチョコレート全部食えよ!!俺は要らねぇんだ!!』
と紙袋を夕陽に押しつける。
中味がバラバラと溢れ落ちる。
そして、夕陽の足元に手紙が落ちてきた。
『ラブレターだぁ♪』
プッとバカにしたように笑う。
『お前は俺に絞められたいのかこのタコ!!』
大斗は機嫌悪く睨み付ける。
『ゴメン、ゴメン…♪ねぇ?読んでもいっ?』
『勝手にすればぁ…』
面倒くさそうに彼は言った。
『[神崎君へ―ずっと好きでした。付き合ってください]』
『却下』
『[神崎君へ―お友達になってください。もっと神崎君の事知りたいです]』
『無理』
『神崎さん…それ卑劣ね…乙女心に冷たいわ…』
『じゃぁ何か?お前はそんな見ず知らずの奴等と付き合えと言うのか?』
『いちいち突っかかんないでよ。大斗が女の子にちやほやされてるのに、ここまで面倒くさそうなの始めて見るからちょっと楽しいだけよ。ゴメンね…♪』
夕陽のやろう…楽しんでやがる…。
大斗は適当に手紙を開ける。
『おぃ。じゃぁお前コレにコメントしてみろよ?』
と手紙を夕陽に渡す。
『何々??[大斗君、いつも仲良く話している、同じクラスの片桐さんは彼女ですか?もし違ったら…]』
ビリビリビリーッ!!
最後まで読み終わらない内に手紙は夕陽によって引き裂かれてしまった。