あかねいろ

『大斗!!火!!燃やしてしまおう!!』

夕陽は真っ赤になって怒りながら言った。

『な?だから、なかなかダルいんだってば』


はぁーとため息。


『それより、お前、これ一個食べたい?』

とお弁当箱を見せる。

『あんた…それいらないの?それも燃すつもり…?』

少し不安げに尋ねる夕陽。


スパーン!!


大斗は同時にその辺のチョコレートの箱で彼女を叩いた。

『何すんのよ!?』

『お前がバカな事言うからだろ?俺はお前の安全なチョコレート食えればそれでいいんだ』


えっ…?


『どういう意味?』


あたしは、不意を突かれて不覚にも赤くなってしまった…


『お前は[大斗くん好きです♪]とか無いわけ?』

大斗は夕陽の質問には答えずに、夕陽をからかってくる。


こいつ…楽しんでるっ!


『あるかそんなもんっ!!!』

夕陽はその辺のチョコレートを片っ端から投げつけた。

『いってぇ!!』

『大斗のバカ!!もうあたし戻る!あ♪夜スイートブルーに行くね♪マスターにチョコ♪』

そう言って夕陽は屋上から出ようとする。

『夕陽!!』

それを呼び止める彼、そして


『どーもね』

と背中に一言。






夕陽は振り返りにっこり笑った。





ドキッ…




あっ




『じゃぁ後でね♪』



そして彼女は出ていくが、大斗は固まってその扉を見つめていた。

そして再び後ろに倒れ込んだ。



―――――
―――――――


『はい♪バレンタインおめでとぉ♪しげさん♪』

『夕陽ちゃん!!ありがとう♪もう可愛いいなぁ♪』

『わぁぁあ!!』


そう言ってマスターは夕陽を抱き締めて、猫をあやすようにヨシヨシする。


何やってんだっじじぃ!!


お客さんにチョコレートを貰いながら横目でそれを見ていた大斗は超不機嫌。


『こんばんはー!!』


はいっっ?しかも、なんで小田桐…


びっくりして凝視。

『拓ちゃん、結衣さん久しぶり♪ゴメンね、バレンタインに呼び出して。はいチョコレート♪』



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