あかねいろ
――――――
『大斗君♪行こうよぉ』
大斗の腕を掴みながら女は言う。
『最近、付き合い悪いじゃない?たまには構ってよぉ』
なんなんだよ?夕陽は?
ムカツク。
大斗は女の言葉なんて聞いていない。
そして、
『百合さん、ごめんね。本当はまだ仕事中なんだ。戻ろうか?』
大斗はイライラを隠して、わざとらしい笑顔で言うと、彼女をBarへ誘導する。
…―ッ!!!
あんなヤツっもう知らない!!
大斗と夕陽は各々そんなことを思っていた。
――――――
『うわぁ!!大斗また戻ってきたよ―…ってオィッ!!』
夕陽の代わりに違う女を連れて戻ってきた大斗を見て恭次が大声を出した。
少し離れたカウンターに女を座らせた大斗は、かなり機嫌の悪い顔で恭次の元にやって来た。
『おかえり…って、お前…ひぃちゃんは…?』
恭次は状況が掴めず恐る恐る聞く…
何かあったのだろうとだけは予想できた。
『俺を無視した挙げ句、去り際に「あんぽんたん!!」と言い放って帰っていった。何なんだよ?あの女はっ!!わけわからん!!』
『で…何で違う人連れてんの?』
やれやれと呟く恭次。
『階段の上で会っただけ。』
『ひぃちゃん追いかけなくていいの?』
『知らん。もう、あんなヤツしらねぇ!!』
『…ったく…』
『何だよ?』
『別に…ちょっと呆れただけ。何があったか知らないけど、大斗らしいって言ったらそんな感じだし。』
そして恭次は立ち上がる。
『さてと、俺は可愛い幼なじみでも夜這いに行こうっと♪お前は、ひぃちゃんと早く仲直りしなさいねん♪』
そう言いBarを出ていった。
『大斗君?』
先程の女が大斗を呼ぶ。
『で?今日は遊んでくれるの?』
甘ったるい声で聞いてくる。
『いいよ。』
大斗は夕陽に対してのイライラを隠すように返事をした。