あかねいろ
-春-

出会い



キーンコーン カーンコーン…
キーンコーン カーンコーン……


目先には学校、でもチャイムは待ってくれない。


到着した時にはとっくに鳴り終わり閉まっている門…



今日もやってしまった…



新しい制服に身を包んだ女の子が1人、大きくため息をついた。


今日も遅刻かぁ…


入学式は来てすぐに帰ってしまい、その後2日は行くのが遅すぎて、すでに学校は終わっていた。

勢い良く誰も居ない教室入った瞬間はさすがに笑えたわけで…。

考えてみたら入学早々午後まで学校があるわけない…

夢の"花の女子高生生活"もこれじゃ華やかない。


なんだか自分で門を開けて行くのも3日目となるとちょっと萎える…


もーいー
今日は帰ろう…。
走り損…


そう思い彼女は乱れた髪の毛を適当に直し、とぼとぼ歩き出した。


門に背を向け来た道を駅の方へ。


学校…ちゃんと来なくちゃ。

入学早々、夜遊びし過ぎて朝起きられないなんてだめだよね…。

目覚めた瞬間毎朝悲しくなるよ…


でも、今日はとっても良い天気。ブルーな気持ちも少し晴れる気がする。


彼女は大きく伸びをする。


春の陽が暖かい


さてと、今日はこれからどうしようかなぁ?


―――――


ドンッ!!


いったぁ…っ


空を見ながら"気持ちがいいなぁ"なんてぼーと歩いていたので何かにぶつかってしまった。


顔をあげると人?


うっわぁ…恥ずかしい…



『ガッコあっちよ?』

背の高い男の子が風船ガムを膨らましながら学校を指差し一言。


今時チューインガムって…


『か…帰るんです…』


彼女は自分からぶつかっておいて、謝ることもさて置き「何あんた?」という感じに嫌な顔して言ってしまった…


この人、感じ悪い…。

帰るの見たらわかるだろっつうのっ


『ふーん。じゃ俺も帰ろうかなぁ?』


え?なに?



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