あかねいろ
しかし、今回は多少の余裕を見せられるらしく、妙に真顔でカウントダウンをしだす。
夕陽はつい勢いで慌てだし、鞄を掴んで「バイバイ」と周りに言って急いで出てきた。
『何か…また流されてしまった…』
夕陽はブツブツ言いながら大斗の隣を歩いていく。
『お前、ほんとバカ』
大斗は片眉下げてプッと吹き出す。
こ…この悪魔…。
人を急かしておいてなんなのっ?!
夕陽が睨み付けるが大斗は、まるで無視。
『行くぞ』
とスタスタ歩いていく。
でも…そっかぁ…
大斗とクラス違うんだよね?
クラスが離れるって…やっぱ寂しいかも…?
1年の時は大斗が自己早退しない日に2人は何だかんだ一緒に帰ることが多かった。
理由は大概は大斗の「腹減った」か、夕陽の「マスターに会いたい」、「歩くの面倒だからバイク乗せて♪」等のその場の流れだった。
さっきは何しに来たの?って思ったけど、今までみたいにその場の流れで帰ったり出かけたりじゃなくなるんだ…
うーん…
『ところでどこ行く?』
こっそりバイクが停めてある所まで、当たり前のようにやって来ると大斗は聞いた。
『どうせ「腹減った」でしょ?ご飯食べに行こうよ』
と夕陽。
『うん。じゃぁ懐かしいから今日はファミレスね♪』
何を思ってるのか大斗は言う。
『懐かしい…?』
――――――
着いた街のファミレス。
いつものように制服を脱ぎ出す大斗。
『あっ!!あの日っ!』
そう、ここは2人が道で初めて会った時に来たところ。
席に座るとクスクス笑い出す夕陽。
『どうした?ついにイカれた?』
『違う違う。1年前を思い出して…』
笑いながら夕陽は続ける。
『本当に大斗は失礼な人だって思ったよ…懐かし♪』