あかねいろ

『はぁぁ?こっちのセリフだ』

『何よ?人のお財布からお金勝手に使って…それは良いとして、強引に連れてきてさ?あの生意気な口ぶりと飄々とした態度っ』

嫌みっぽく言う。

『お前だって本当に俺に対して失礼だから。普通は俺に財布なんぞ拾われた日には世間は泣いて喜ぶからね♪』

『それは大斗ファンの女子達でしょ?一緒にしないでよ』

『そうそう、そのセリフ良く言ってたよなぁ?生意気』

『あんたに言われたくないわよ。でもさ、仲良くなってわかったけど、大斗は普段あの時みたいに女の子強引に誘ったりしなくない?』

『うん。だってあの時の夕陽は、当時俺の中で有り得ない存在だったからね。俺を見て「なにコイツ」って嫌な顔されたの初めてだったから、すげーツボに填まったってか面白いって思った』

『「面白い」ってあんまり言われても嬉しくないわ…』

『そうか?』

大斗は笑っている。


『でも、早いね1年って…色々あったよねぇ』

夕陽は窓の外を見ながら呟いた。

『そうだなよなぁ"愛しの拓ちゃん"で、お前の頭いっぱいだったもんなぁ♪』


いたずらっ子みたいに大斗は言う。


夕陽は窓からの視線を戻しフッと真顔になって大斗を見つめた。


…?


『そうだよ。頭ん中は拓ちゃんばっかりだった。でも今は全く違う。大斗のお陰だよ』


そうして、にっこりと笑った。

とても穏やかな顔で…


ドキッ…



あぁ…


やっぱり、俺がイカれたな…


『でもさ、大斗は相変わらず女の子にチヤホヤ変わらないでしょぉ〜?!』

今度は夕陽がニヤっと言った。

『今は遊んでねぇよ…』

『あら♪どうかしらねぇ?本当だったらその内気が狂っちゃうね?』

『テメェ…俺は真面目に言ってんだ』

『うんうん♪そゆ事にしといたあげる♪でも前と変わったし大斗。何か若返ったよ♪』

更に優しく笑う夕陽。


えっ?とただ大斗は夕陽を見ることしかできない。

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