あかねいろ
ドキッ。
しまった…っ
女の人にトキメイてしまった。
可愛らしい仕草。
超痛がる大斗をよそに咲に釘付けの夕陽だった。
綺麗と可愛いを掛け合わせた人、そして意外な面を持つ…。
目の前には「麻生咲」という人が居る。
あの赤い車の…
『ふふっ、夕陽ちゃんでしょー?大斗からきいてるよー♪』
咲は夕陽に笑いかけ、ゆっくりと大斗の隣に座った。
あたしのことをどう聞いているんだろう…
『おねぃさーん。苺パフェ2つね♪後、コーヒー3つぅ〜』
咲は今度は離れてるウェイトレスに叫ぶ。
忙しい人…。
大斗の存在は軽く無視なのだろうか?
咲は煙草に火を点け一息つくと、鞄から違う煙草を一つ取り出した。
そして、当たり前の事のように大斗に渡す。
『おみやげ』
大斗はチラッとそれを見るだけ。
それだけで、何も言わなかったけど、これが2人の自然のスタイルだと感じた。
無視じゃない、2人でいることが当たり前すぎるんだ。
2人が並ぶと不思議な空気ができる。
なんだか煙草の受け渡しだけで、感じてしまう。
入り込めない凄い存在感みたいな、謎だらけだけど…
2人の間にはただならぬ深い関係があると感じられる。
付き合ってるとかではないんだよね?
『今、何時までいられんの?』
大斗が咲に聞く。
短い台詞
『うーん、連絡待ち』
「そか」と短く返事して、咲が渡した煙草を開けて火を点ける。
大斗と咲の二筋の煙草の煙が天井に昇って交ざり合う…。
パフェが届くと、咲は1つを夕陽に渡す。
『夕陽ちゃんに苺パフェ似合うから。あげる!!好き?』
にっこりと言う。
万が一嫌いでも、その笑顔なら「好きです」って言っちゃうよ。
『は、はいっ』
ドキマギしながら大斗のように短く答えた。
夕陽はそれしか出来なかった。