あかねいろ
その時−
ぶぅゎぁぁぁーっ
強い風が吹いた…−
それに乗って屋上まで上がって来た桜の花びらが
ハラハラと舞い落ちて来た
『わぁ』
思わず声を上げた。
『雪みたい』
ハラハラハラハラ薄い桃色が降り注ぐ―
大斗は空を見上げる夕陽を柔らかい表情で見つめていた。
『綺麗…』
「こんな雪の日はね、何か新しい事が起こるんだ。粉雪が瞳に見えない"何か"を運んでくる。その"何か"を見つけられるかは自分次第なんだよ。」
しげさんが言ってたって…前に大斗が…
何だか、あの日の粉雪みたい…
"何か"…?
"何か"を…
その風は、とっても暖かくて、
優しい優しい春の風だった…
『『粉雪…』』
大斗とあたしの呟きが重なった…
大斗は、何を思ったのかなぁ
あたしは…