あかねいろ
なんだ?しまった。全く話がわかんねぇ…
菜穂は楽しそうに大斗の手を引いて歩きだした。
『菜穂ちゃん』
その手をサラリと離す。
『もうっ!!一緒に帰ってくれるんでしょぉ?』
なんだそれ…知らねぇよ。
でも最早かわす力がない…
大斗は半ば諦めというか、どうでもよくなったらしく、歩きだした。
『なんかぁ…夕陽先輩ってモテるんですね?あたしのクラスもみんな噂してます。』
何の気なしに大斗に菜穂は言う。
『あぁそう』
動揺を気付かれないよう、しれっと返す。
『大斗先輩は相変わらずモテモテなのに、あんまり女の子に興味ないですよねぇ?』
「つまんないのー」と小さく拗ねている菜穂は言う。
バレてないらしい…
『あぁ…そう?』
なんとか笑い返した。
そりゃ基本は興味ないし。もう夕陽以外はマジでどうでもいい…
『また…会いに行っても良いですか?』
勝手にすればいいと思ってしまう。
本当にどうでもいい。
俺って、いつもどうやって世間の女をあしらってたっけ?
とりあえず、笑っておいた。
喋るのも億劫だ。
『はーい♪』
その大斗の顔を見て菜穂は機嫌良く答えていた。
〜♪〜♪〜♪〜
―着信。恭次―
『はい』
〈何?お前、いつの間にどこいんの?生き還った??〉
『あー。帰り道?』
〈なんだそれ?まだ死んでるね…。まぁいいや。今日、舞と瑠璃ちゃんが飯作るって言ってるけど来る?〉
『わかった。すぐ行く』
そうして、電話を切ると
『夕陽先輩ですか?』
すかさず菜穂が問う。
『違うよ。俺出掛けるからここでね』
とりあえず笑って言った。
たぶんこれで、かわせるだろう。
『はぁい♪明日また会いに行きますね♪』
そうして菜穂は帰っていった。