あかねいろ
『だから何だよ?お前…』
『大斗っていつからあたしを「夕陽」って呼んでる?』
大斗の質問には答えず更に問う。
『しらん』
思わず返答。
『そう…そうよね?わかった』
『何だよ?お前』
『何だろう?』
変なヤツ…
『夕陽ちゃん?!』
話をする2人に夕陽を呼ぶ声
あぁ?誰だよ?「夕陽ちゃん」だと?
不機嫌に大斗は声のするほうに振り返った。
『神崎おはよっ♪お前、夕陽ちゃんと仲良いんだろ?紹介しろよ』
そこに居たのは正に「今時」という容姿の男の子。
誰だか知らんがテメェを殺すっ!!
更に機嫌悪く彼を見る大斗は何も言わない。
『あは♪大斗のクラスの人?片桐夕陽です♪よろしくぅ』
おぃバカ!!なんでにっこり自己紹介してんだよ!!
前なら緊張して喋れなかったヤツがっ!!
いつの間にか社交的になってやがる!!
男に向けてそんなふうに笑うなアホ!!
『俺、大沢傑(オオサワスグル)神崎と同じクラスだよ。前から話したかったんだよね♪よろしく夕陽ちゃん』
『おい』
そこにやっと口を開いた大斗が冷ややかな声で一言。
『お前。誰だかしらねぇけど、いきなり「夕陽ちゃん」は馴れ馴れしいだろ?』
そう言って傑を再び睨み付けると何も言わずに教室を後にする。
『『はい?』』
きょとん。となる夕陽と傑。
大斗はあっという間に廊下から見えなくなった。
『お…大沢君…ご、ごめんね…あの人、よく分からないから…』
なんで大斗のクラスメイトのフォローをあたしがしなきゃいけないのよっ
夕陽はタジタジしがら言った。
『いーよいーよ♪でさ、2人は付き合ってないんでしょ?』
『もうっ初対面に言うのもなんだけど、やめてよっ!あんなヤツと付き合えるはずないし…』
大斗の見えなくなった廊下を見ながら少し膨れて少し赤くなって呟く夕陽。
『じゃぁ、あたし教室戻るね♪』
夕陽は傑に笑いかけると走り出した。
きっといつも通り、上よね?
夕陽は3階から渡り廊下を抜けて4階に上がるためにそこを曲がった。