あかねいろ
キス
お前があんなにされて…
あんな場面見て…
平気でいられるわけがない…
夕陽の言葉を…
夕陽の声を…
聞いたらもう止められない…
きっと俺は自分を押さえていられない…
だから何も言わないでくれ…
『今日ここ誰もいないらしいから…少し寝てろ。』
大斗は力なく言った。
彼はポケットから鍵を取り出して開ける。
夕陽はなぜ大斗が保健室の鍵を持っているのかに気付く事もできないくらい混乱していた。
そして、されるがままベッドに寝かされる。
『あり…がとう』
夕陽がやっと出した言葉に大斗は何も言わなかった。
『ごめ…んなさい』
彼女は小さな声で更に続ける。
『それは何のごめん?』
口を開いた大斗の冷静な声にやけに不安にかられた夕陽。
『お前さ…何で付いてった?』
『付いて、行った…わけじゃ、ない…』
『バカかっ?!!ふざけんなよ?!!』
大斗はついに大きな声を出した。
『何やってんだよ?!!俺があんなヤツに伝言なんて頼むはずねぇだろ!!そんなの少し考えたらわかるだろ?付いていったのと変わんねぇよ!!』
誰もいない保健室に大斗の怒鳴り声が響く。
『あまり心配かけさせんな…』
怒りながらも悲しそうな大斗の顔。
『お前はまた脱がされて、何なんだよ?!いい加減、隙だらけなの気付けよ!!間に合わなかったらやられてたんだぞ?!!』
怒りが収まらない大斗は必要以上に捲し立ててしまう。
『ごめ…』
横になっている夕陽のすぐ隣、ベッドの横の椅子に大斗は腰かける。
瞳が合った2人…。
ぽすん。
大斗は夕陽の胸の上に突っ伏した。
『ひろ…と…?』
『心配…した…』
お前の顔を見てるだけで…
もう駄目だ。
衝動的に触れたくなってしまう…
あぁ…
夕陽の…心音が聞こえる…
もっと音を感じたくて瞳を瞑る…
『呼ばれて…だって…大斗に謝りたくて…それしか考え…れなくて…』
再び身体を上げた大斗は夕陽の頭を撫でる。
『…こわ、かった…』
『泣くなよ…俺の方が泣きたい…』