あかねいろ

大斗はその後反論する言葉が出なかった。


煙草の煙がユラユラ上がる…



『さぁ!!今晩は呑むぞ!!ところで大斗は歳いくつだ?』

『16』

『うわっ未成年もかなりな未成年じゃねぇか?まぁいーか♪お前酒強いな?』


『まーね』

『よーし!!朝まで呑むぞ息子よ!!』


"息子"なんて呼び方…

誰かに、産まれて初めて言われたんじゃねぇ?

なんだよ…おっさん。

ちくしょう…


俺の周りの大人はどうしてみんな恥ずかしい事サラッと言っちゃうんだよ…



こうして、大斗16歳と、豊次郎52歳の夜は明けていく…



――――――


『夕陽?泣いてるのか?大丈夫か?』


〈大丈夫…く、ない…グスッもう…何が何だか…うっぅ…〉


夕陽は拓巳の声を聞いて、涙が再び止まらない。


『参ったな。俺今東京から離れてて帰り道なんだ。そっちには明日の朝に着く…』


拓巳の「参った」は夕陽の涙の事だった。

弱音を言って涙する夕陽を拓巳は電話越しにでも何でも目の当たりにした事はない。


〈ゔぅッ〉


『電話じゃなくて、夕陽に会って話聞きたい。』


拓巳の素直な気持ちだった。

パニックする夕陽に電話で話をしても伝わることはないだろう。

それより何より夕陽の事が心配でたまらない。

拓巳は自分と夕陽の過去を思い出していた。


どんな事でだとしても、夕陽に会わないと

今度こそは会わなくては…


それが拓巳の気持ちだった。


〈だぐ…ぢゃん…ッ〉


『落ち着いて、俺は明日の朝から用があって夕陽の学校に行くんだ。夕陽は学校行ってる?』


〈もう…3日、間…行って、ない…〉

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