あかねいろ
『こら。そんなでどうするんだ?明日2時に学校で会おう。屋上においで』
〈うっ…グズッッ〉
『夕陽は本当に大斗が好きなんだな』
再び拓巳の柔らかい声だった。
〈ちがっ…う。だって、大斗と…は、ずっと友達で、居たい…離れたく…な、いも…〉
拓ちゃんみたいに離れたくない…
『もう何も言わないでいいから…。泣き止んで。明日、一緒に探しに行こう。だから今日はどこにも行かないで早く寝るんだよ。どうしようも無くなったら直ぐに電話しておいで』
〈う…わかった…〉
『夕陽も…少し向き合いな…』
そう言って拓巳は電話を切った。
『電話、夕陽ちゃん…?』
助手席に座る結衣は尋ねる。
『そう。大斗が居なくなったって、泣いてた』
『あの綺麗な顔の男の子だよね?!』
『大斗への告白を電話越しに俺が聞いてしまった気分だよ…。きっと…2人は…。』
少し寂しそうな拓巳の顔だった。
『うん…そっか…』
拓巳の言葉に被せるように結衣は答える。
『俺って本当に情けない…夕陽には滅法過保護だし…ね』
『そうね』
『ってか、結衣…?大斗を「綺麗な顔」って、それ…俺にも言ってくれないの…?』
苦笑いする拓巳に結衣は優しく笑っていた。
『好きよ拓巳』
クスクス
『もちろん…俺も好きだよ』
―――――――
『でも、あいつは俺の事、好きなんかじゃない。同情してただけ…なんだ…』
なんつー情けない事言ってんだ…よ、俺。
『何だか知らんが、どう思われてても良いんじゃないか?相手が自分をどう思っていようと、伝えたい事は無いのか?』
『…』
夕陽が俺を…
どう思っていようと、
伝えたい事…?
『ちゃんと、気持ち伝えたか?』
気持ち…なんて…
『…何て言えばいいのかわかんない…伝えられない…』
『素直な気持ちを自分の言葉で言えばいいさ。何度でも言えばいい。伝わるまで。イケメンがそんなでどうする?』