あかねいろ


―――――

考えなくすればするほど

モヤモヤが広がって…

胸の奥が苦しくって…


寂しくって…


ねぇ?拓ちゃん…?

あたし、拓ちゃんの事…

頭ん中、拓ちゃんしか考えられないくらい…

本当に大好きだったんだよ。


でも今は…

大斗の事が心配で、

頭ん中いっぱいなの…



大斗が、大事…なの




だから恋とは言いたくない。

恋なんかじゃない。



拓ちゃんの時みたいな想いしたくない。



友達でいたら…

恋じゃなければ…



そう思うのに…




苦しい…


「向き合う」って…

大斗に…?




だって…




そういう好きじゃないもん…


好きなんて言いたくない。



恋なんかじゃない…




意地になって言い張るのは…

あたしが物凄く…



何??

あたしの…この胸の中の



あたしが拓ちゃんに電話したのは…

なんでだろう…?


でも、なんだか拓ちゃんに会えば…

ちゃんと見る事ができるような気がしたから…


そう思ったから…


―――――


『拓ちゃん!!?』


約束の時間

あたしは勢いよく屋上の鍵を開けた。


サァー


えっ…、、?


こんなに真夏なのに

まるで

春の始めみたいな柔らかな風が吹いた…


それに、太陽が眩しくて…

一瞬瞳を細めたんだ。


そこには真夏のはずなのに桃色の花が…



『う、そ…』


少しして、瞳を開けた先、

あたしに、ゆっくりと…春が振り返った。


真冬の綺麗な太陽と、春風を聳えて…

満天の笑顔で、桜が咲き誇っていた。


『久しぶり夕陽ちゃん♪』


あたしは、

夢を、

あまりにも考えすぎたから…

あまり寝れなかったから…



『夢…、、?』


起きていながら、夢を見ているんじゃないかと思った。


『会いたかったよ、夕陽ちゃん』


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