あかねいろ
『なれるなら…なりたい…。あたし大斗が…大事、だから…』
『うん?』
『だから、助けられた分…それよりもっと…力になりたい…から』
『うん?』
『でも…あたしは咲さんみたいな絶対的な愛では大斗を包めない。愛なんて…わからない…だから友達…でいい』
『「で…いい」って何を言ってるのよ…』
だって、あたしは…
『拓ちゃんみたいに…大斗に恋をして…離れて…会えない状態になるなんて考えられない…』
あんな想いはしたくない。
だったら恋でなくていい。
恋?
あたしは…
大斗に…
違う。
友達でいられたらいい。
変わらずに…
ずっと…
ずっと一緒にいたいから…
『離れたくないって言ったって、実際今離れているじゃない?会えなくなってるじゃない?夕陽ちゃんは自分で大事なもの見てない。わかってない。』
その、通りだ…
大斗に会えなくなっている…
あたし…
本当は気付いていた…
思い込んでも止められないモノがあること…
何を…しているんだろう…
踏み出せなくて、動けなくて…
大事なモノが消えかかっている事に本当は気が付いていたのに…
わかっていながら見ないで、
泣いてるだけの自分。
本当にうんざり。
情けない…
本当は会いたいのに
今すぐ、会いたいと、物凄く思う…
なのに…
『でも大斗はきっと、咲さんが居なくて、それで…近くにいて、都合いいから…扱いやすいからあたしに構うんだよ…』
出てくることは弱い言葉…
不安な…想い。
踏み止まってしまう
『それ…大斗が言ったの?』
言ってない…
言ってないけれど…
『だって…大斗はあたしにふざけてばっか…咲さんが行ってしまってから特に…そうで…』
『あぁそっか…困ったな。そうなっちゃうんだ…そうだよね…?そう思うよね?あたしのせいだ…』
『さ、咲さん…?』
『あのね…あたしと大斗の時間は、もうそんなの過去なんだよ?今の時間に居るのは夕陽ちゃんなんだよ?』