あかねいろ
そんなのできるか分からないけど…
それに…今…
大斗は…居ないんだ…
それ以前の問題だった…
『夕陽ちゃん…?本当に大斗がどこに居るかわからない?』
大斗が行く場所…
誰も知らない…
大斗だけの…場所…
…
…―
『あ。』
どうして今まで気付かなかったんだろう。
考えてみたら、大斗が独りで行くところなんて1つしかないじゃない?
最近は、2人で行っていたから…
いつの間にか、大斗独りの場所じゃなくなってる気がしていたから気付けなかった。
『咲さん?!!』
咲さんの瞳があたしを見る。
あたしも、しっかりと咲さんを見た。
『あたし、わかる。大斗の行くとこ!!』
夏の風。
いつの間にか太陽は鋭さを和らげていた…
『そこは、咲さんにも拓ちゃんにも秘密!!あたしと大斗の場所だから!!』
グズグズするのはもう止めよう。
不安ばかりだけれど…
だってあたし、どう考えても…
『大斗に会いたい!!大斗を迎えに行ってきます!!あたし行くね!!だから待ってて!!』
咲さんはただ笑っていた。
『咲さんはいつまで日本にいるの?』
『しげさんが北海道に居るみたいだから、今から会いに行こうかな?用事があってね、日本に来たのはその理由。雪那さんにも会いたいし。それからすぐN.Yに帰るわ』
もう行く…?
『じゃぁ…大斗に会わないの?』
『うん。会わない。いい、別にいい。夕陽ちゃんが居れば、それで良い』
それが咲さんの大斗への最高の愛。
最強の愛。
あたしには真似できないし、やっぱり理解はできないけれど…
だってあたしは…
『咲さん!!あたしは咲さんみたいな絶対的な愛はやっぱりないです。そんな大きな心はないから…大斗と手を繋いで良いのはあたしだけで在りたい』
そう言ってあたしは扉へ足を向けた。
『拓ちゃん!!あたし拓ちゃんの事、本当に大好きだったよ!!』
振り向いていきなり大声を出したあたしに、拓ちゃんはびっくりしていた。