あかねいろ
大斗を好きだって気持ちは変えられない。
誰に何を言われても、どう思われても今まではっきりしなかった自分の責任。
開き直りと言われても…その通りだもの。
でも譲れない気持ちだけは貫きたい。
あたしはすぐ流されてしまって駄目だった。
それを越えたら、とても勝手な事をしている。
ごめんね…
菜穂ちゃん…
『…―わかってました…初めから…あたしなんかが割り込めないって…』
小さく言われた菜穂ちゃんの言葉に頭を上げた。
『でも、また弱い夕陽先輩見たら、あたしは全力で奪いますから』
菜穂ちゃんは、あたしにないモノを持っている。
『うん!!でもないよ!!』
ごめんね…
『夕陽先輩…羨ましいです』
菜穂ちゃんの真っ直ぐに気持ちを言える所の方が…羨ましいよ…
『ありがとう!!』
あたしは手を振って走り出した。
―――――
『拓巳来んの遅っ!!』
『だって思わず引き留めちゃいそうな気がしたから』
『小さっ♪』
『もろ振られたし』
『キャハッ♪あっ屋上の鍵返す、昔拓巳が作ったんでしょ?コノ隠れ悪♪』
『まーね♪』
『今は大斗が持ってるなんて面白いね♪夕陽ちゃんも持ってるし』
『夕陽…行っちゃったな…』
『寂しい?』
『うん』
『素直ね…拓ちゃん♪』
『お前は…どうなんだよ?』
『そりゃ…寂しいよ。大斗はもうあたしのモノじゃないからね…まぁ初めからあたしのモノじゃないけどさ』
『フッ』
『笑わないでよ委員長♪』
『止めろよその呼び方』
『でもさ、あたし達、あの頃間違い起こさなくて良かったね?』
『はい?』
『なんかそしたら今4人でややこしい関係になってたじゃない?』
『そう…だな』
『風…気持ちいーね』
『では、桜羅嬢♪振られた者同士、デートでも行きますか?』
『あはは♪その呼び名止めてよね♪あっ拓巳とデートって久々ね?でも失恋パーティ♪』
『咲ちゃんの浮気者♪』
『拓巳もじゃないの♪』