あかねいろ
ザバンッ!!
あたしは…海から顔を上げた。
信じられない…っっ!!
いきなり落とすなんてなんなのよ?!!
瞳の前にはビックリした顔の大斗…?
はい?!
あたしは訳わからずに、しりもちついたまま、波の中から大斗を見上げた。
―…ッ!!
バッ!!
急に引っ張られて―
!!?
そのまま息つく間もなく到着したのは、大斗の唇。
一瞬の事、
ひとつだけキスをされた。
瞳を瞑る間もなかった。
『お前ムカつくんだよ』
顔を離してまたそう言った大斗は、再びあたしを抱き締めてキスをする。
今度は何度も何度も訪れる…深いキス
その口づけは波の中に混ざって…溶けて行く…
ザバーン!!
『うわぁぁ!!』
高波に飲まれてしまって…可愛くない叫び声…
『ちょっ…ひろ…苦しいっ』
やっと起き上がって口を開いても
『うるせぇ』
と無視だった。
そして噛みつかれるようにキスされる。
『ちょっと…大斗ッ』
ザップーン!!
『バカヤロウッ!!しょっぱいんだよ!!』
『キレないでよ?!あたしのせいじゃないじゃない?!波よ波!!』
2人とも最早全身ずぶ濡れだった。
髪の毛から雫がしたたり落ちる…
『黙れ』
塞がれる唇、荒々しいのに、何だかとても愛しく思えてしまう…
ザバーン!!!
3回目の高波は一番大きくて、あたし達は揃ってまた海の中に倒れ込んだ。
軽く流されて、波の中…
その間、大斗はあたしをしっかり掴んで離さなかった。
顔をあげる
グイっ…―!!
また腕を引かれ…
そして今度たどり着いたのは彼の胸の中…
ぎゅうーっときつく抱き締められた。
あたしも大斗の背中に手を回そう…
『お前は俺の話ちゃんと聞けよ!!』
と…その前に両肩を掴まれ離されてしまった。
大斗の勢いは止まらない。
『すっすとっぷ…!!』