あかねいろ




『お前にだけキスがしたい』



すっと唇をなぞられた…

キスと一緒に想いが伝わる…





『わかんねぇけど、だからこれが好きって事なんだろ?』





片方の眉を下げて小さく笑う彼

何か言わなくちゃ…

胸の中の想いが膨れすぎて、ぎゅうぎゅうで…

声も言葉も…

詰まってしまう…




『考えたけど、結局俺は自分勝手なんだ。結局、いくら考えても、やっぱり始めに思った事の通りにしかできねぇよ。』




びしょびしょのあたしの髪の毛を手に取り続ける。

雫はしたたり、オレンジの海に混ざりゆく…





『俺は誰でもじゃなくて、お前に触りたい』




勝ち誇った顔。



なんか変なの





『だから、夕陽も俺を好きになれ。そうしろ』




何て言う命令口調なんだろうか…


クスクス


思わず笑う。




『余計な考え事いらねぇんだよ!!いいからお前は俺だけ見ろ!!』





ダブーン!!!



そうして海の中に倒された。

波の中でキスをする。




『ひろ…ひろと…』




絶えずキスが落とされる。




『何だよ?いいからキスさせろ!!拒否んな!!喋んな!!』





もうっ、ほんと…勝手…




『大斗っ!!!!』






ガバッ!!!


大好きな人の名前を大声で叫んだ。


その瞬間、今度はあたしが大斗を押し倒す。


ドッボーン!!



『ゲホッゲホッゲホッおまっ』


『…―き』


『倒すな!!バカ!!』


散々自分はあたしを沈めといてなんて勝手な事を言うの…っ?!!


そう思ったけれど、大斗の大きな声も今のあたしには別に構うもんじゃなかった。



『・・−す…−き』


『このやろっ!!潮水飲んだだろッ!!』



てゆうか…あたしの言葉聞いてない…でしょ?!






・・・・







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