あかねいろ
お弁当
――――
――――――
『やったッ!マジでッ!?』
連休が終わった教室に大斗の歓喜な声。
彼は顔いっぱいに笑う、まるで子どもみたいだ。
夕陽の机の上にはお弁当箱が3つ。
1つは夕陽のもの、そして大斗のが2つ。
おかしい…ノセられて作ったけど、あたし便利屋?
夕陽は机に座り込み考える…。
日光が窓を抜けて拡散し、お弁当箱に反射するのだが、ちっともキレイに感じない。
あたし…
強引だろうと…頼まれ事されたら…
断れないのっ…!!
『いくらにしましょうか?店長?!』
殿は上機嫌らしい…
ちがう…神崎君…
値段じゃないよっ!!
夕陽は下を向いて静かに
『3千円…』
と呟いた。
『そりゃ大きく出たね?』
『だから値段じゃないのよ。わかる?何であたしが神崎君のお弁当作ってんの?!人が良すぎなのよあたし。頼まれ事断れないの!!それアンタ気付いてるでしょ?あーッ納得しない。自分が自分で納得しないッ!!』
大斗はお腹抱えて笑い転げながら、うるさい夕陽と千円札を机に置いて…
『まいどー』
お弁当箱を持って何処かに消えてしまった。
やられた…
本当にあたしバカ?
勢いに流されるのもいい加減いけないわ…
それに「まいどー」って言うならあたしのセリフだし…
このままじゃいいように使われるっ?!
夕陽は少し焦っている様子。
『ひぃちゃんと神崎って本当はどんななの?』
夕陽達のやり取りを見ていた杏が楽しそうに聞いてきた。
気のせいかクラスのみんなも聞き耳を立てているようだ。
夕陽は一気に現実世界に帰って来た。
『あんちゃんってクールにみえて、以外にミーハーよね?』
『いいものはいいもの。カッコイイもんはカッコイイ。それだけよ。』
続けて
『神崎に弁当なんか作っちゃって♪神崎ファンにバレたら大変だー♪』
と耳打ちした。
やめてよファンって…アイドル?
周りがそう騒ぐから神崎君は自分勝手になるんじゃないの?