あかねいろ
それから…
『それに真っ赤はそそるな♪』
へっ?!
大斗の視線を追えば夕陽の胸元…
びしょ濡れのシャツから下着が透けていた…
『ぎゃぁぁぁーっ!!うゎぁぁ!!』
慌てて鞄で隠す夕陽に大斗はバイクに掛けていたシャツで彼女を包み込む。
『そりゃぁ…ねぇ…?俺も男だ…し?』
瞳を合わせれば
困ったような
悪魔の顔でもない
少しだけ戸惑ってるような気がする大斗が居た。
ぎゅっと胸が締め付けられた。
『バカザル…』
小さく呟いてバイクに乗り込んだ。
水浸しの身体は夕風に吹かれて冷えてゆく…
さすがに夏だと言ってもこの状態は寒いはずなのに…
あたしの体感温度は砂漠の太陽よりもきっと熱いと確信してしまうほど熱を帯びていた。
気持ち良い夏の風が、髪の毛を乾かして、時々大斗が「ちょーさみー♪」と叫ぶのを右から左にスルーして。
本当に「あっという間」に彼の家に着いていた。
鍵を開けた大斗は先に部屋に入って
『いらっしゃいませお姫さま』
と腰が抜けてしまうセリフ。
だっ駄目だ…
ひっくり返ってしまいそう…///
『おおおふろはいるっ!!』
あたしはどうしようもなくなって無駄に大声で叫んでしまった。
『一緒に入る?』
なんて続ける彼には思いっきり首を振る。
もーっやめて!!
潮水でバリバリの髪の毛が変に揺れ動く。
大斗はツボに入ったらしくてお腹を抱えて大笑い。
そのまま苦しそうに身を丸めてタオルを取って渡してきた。
― ―
ふう。
今までこんなふうになったことないんだもん。
拓ちゃんの時は何もかも初めてで…
でもそのドキドキとも違う。
他の人とも違うんだもん…
頭からシャワーを浴びながらぐるぐる回る頭と色んな考えを巡らせていた。
カチャ
浴室のドアを開けると
『んなっなんでよっ?!』
大斗のだろうシャツが1枚タオルの上に置いてあった。
絶対にこれを着ろと言う話だ。