あかねいろ

『ひっひろとぉ〜?』


脱衣室のカーテンを捲って部屋を見渡すと大斗が見当たらない?


『大斗?』


シーン…


居ないのっ?!


やだ…

一気に不安になってしまう…



ガチャ


そうこうしていると玄関が開いた。


『出た?』

『ぎゃぁぁぁあっ!!バカバカ!!急に現れないでよっ!!それに何?!このシャツ?!』


あたしは即座にカーテンの内側に入って大声。


『なかなかエロいだろ?』


カーテンの向こうにはそれはそれは楽しそうな彼の声。


『エロッ!うわぁぁぁあ!!』

『うっるせぇ。』

『だってだって!!』

『いーから♪何か食うもんとか色々コンビニで買ってきたから適当に髪乾かしながら待ってろよ♪それに早くそこから出ないと俺風呂入っちゃうよ♪』


あぁ…

神様。あたしの好きな人は本能に従順なモンチッチです。


渋々シャツを着て、更に上からバスタオルを巻いて恐る恐る出た。


『本当、おもしろいやつ』


それから大斗がお風呂を上がるまでは髪の毛を乾かしてるともうあっという間。

何かを食べる余裕なんて少しもなかった。

あたしは彼の気配を感じて慌ててベッドの横に移動して布団を被る。


ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ


ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ


大斗を見ることもできない。


がばぁっっ


『うわぁぁ』


布団の上から頭を撫でられた。


『なに隠れてんの?』


『大斗のバカッ!!』


『何だソレ?うるせぇぞ!!』


丸まるあたしの姿を見て彼は言う。

声は怒鳴り声なのにそれすら心地良いと感じてしまうの


ふわり


それから

あたしの身体は布団ごとやっぱり軽々浮かされる。


トン


とベッドに座らされて

ゆっくりゆっくり掛けている布団がめくられる―



瞳の前に広がるのは…



いつかと同じみたいな月明かりが入る部屋…


クリスマスのあの時は…悲しさで充満した苦しい空間だったけれど…

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