あかねいろ
今日は違う苦しさ。
大斗を想う気持ちでいっぱいで締め付けられる
愛しい愛しい儚い苦しさだった。
だから…
こんなに苦しいのに、ずっとずっと続いて欲しいと思ってしまう。
濃い碧色の大斗のシーツはあの夕日が沈んだ海の色。
淡い光の中で大好きな人と…
瞳が合った。
『お前…ガッチガチ』
『ううううんだってだって』
もう言葉をちゃんと紡ぐこともままならないの
そんなあたしに、ふっと彼は笑う。
『俺も…』
『うそ…だぁ…?!イッタァッ!!』
至近距離でゴチっとオデコがぶつかる。
『ぶっ!変な顔…ムードぶち壊しっ』
大斗は自分で乗り突っ込みみたいに言ってウケている…っ
『もうっ大斗っ!!』
…
『何だよ?』
再び瞳が合って柔らかい音で囁かれる。
苦しい
あなたを好きで好きすぎて…
ねぇ?
何て言ったら伝わるの?
『し、心臓吐きそうっ』
『バカヤロウ!!もっと可愛い表現しろよ』
ちょっと苦笑いをされる…
『だって…本当なんだもん』
本当なんだよ…大斗…
ゆっくりゆっくり
『しっ心臓っ身体が…』
『なんだよ?』
片眉下げてちょっと笑顔のあの顔で…問われる
ゆっくりと身体が倒されていく
『身体が全部心臓っ!!』
心臓10個とかじゃなくて…
『色気ない叫び…』
嬉しそうに笑う彼。
あたしの全部が心臓になったみたいに身体中、むしろ世界中が激しくドキドキと音を打ち鳴らす。
『ひろとぉ…』
落ちてくる柔らかなキスと共に間近に感じるあなたの吐息
『なに?』
優しい優しい大斗の声音…
『大斗…』
『もう黙れよ…』
うっ
『すき…』
『俺も』
ポスン
あたしたちはシーツの海に落ちてゆく…
大斗から温かいキスの雨が降る…