あかねいろ
神崎君が日頃みんなにどう接するのかは結構謎だったけど…
周りが持つ彼の印象はきっと…
今日の天気の様に晴れ晴れイメージが良いんだろうな。
それだけはわかる。
なんか悔しいっ…
『神崎君にしてみたら、あたしはただの便利屋よ。コンビニよ。店長って言ったのよっ!何だか知らないけどいつもツボにはまられて笑われてるわ。失礼な話し』
夕陽は迷惑そうに、ため息をつく。
『いい?あたしは平和主義なの。それに、カッコイイの自分でわかってて好き勝手してる人なんて好きになんないよ。そもそもあたしに好意がない人興味ないの。』
「全くその通りだ」とはっきり言った。
『あんなにカッコイイのに少しもトキメキはないわけ?』
「全く不思議」と言う感じで聞く杏。
神崎君がカッコイイのは充分わかるよ。
でもあたしは、まるでトキメキないし。
トキメキって単語すら恥ずかしい。
出会い方のせいか、咲さんの存在があるからか…
あたしに対しての彼の態度のせいか…
よくわからないけど…
でも少しも恋心なんてない。
もっと仲良くなりたいとは思うけど…
それに…
恋は…
あたしの中で、
ずっと止まったまんまだったから…
……
おっと、もう考えないって決めたんだ。
杏に恥ずかしくって素直な気持ちを言えない夕陽。
『友達だよ。それだけ。そもそも、神崎君の話なんて健ちゃんが悲しむよ』
話を変えるみたいに言った。
クラスのみんなは「なぁんだ」とまたそれぞれに戻る。
『だからカッコイイのはカッコイイ。彼氏は彼氏。何を言っても健吾が一番好きですよ』
杏は「当たり前でしょ」っと付け加えた。
あぁ…羨ましいな。
好きな人と信じ合って、相手の存在を当たり前に感じられること。
『健ちゃんも充分いい男なのに贅沢ね』
杏は、夕陽が言ったことに、ニッコリ笑う。
凛とした姿は彼女の意志を物語る。