あかねいろ
そこに勢い良く屋上のドアが開く音。
振り返ると、どう見ても機嫌が悪く見える夕陽が立っている。
夕陽の機嫌が悪いのはいつもの事だ。
大斗は全く動揺しない。
むしろ「やれやれ」と迷惑顔で見る。
あー何なんだ?!次から次に。
今度からは必ず鍵を閉めておこう。
ゆっくり飯も食えねぇ。
腹減りで機嫌の悪い大斗は夕陽の存在を無視して弁当を食べ続ける。
『神崎君、ムカつくッ!!』
ドスドス歩いてきた夕陽は腰に手を当て、思いっきり言った。
恭次はその勢いに驚いて、思わず発信中の携帯を間違って切って彼女を凝視。
『はぁ??』
そもそも片桐さんのご立腹の意味がわかんねぇけど…。
『さっき、神崎君ファンに呼ばれたわよ。教室にまで呼びに来て、文句言われたの。面倒臭いから逃げてきたけど!!』
なんだ。八つ当たりか?!
『屋上は逃げ場じゃないよ君たち』
大斗は恭次と夕陽の顔を見ながら言った。
『笑っちゃうわよ。「神崎君の何?」って聞かれたよ。「あたしを周りの神崎ファンと一緒にしないで欲しい、男として興味ない、誤解は迷惑」って言っちゃったわ』
なんだこの女。
ほんとーに笑える。
『お前それは俺に結構失礼だぞ』
『そんなの知ったこっちゃないわ。頼むから神崎君がさっき会った先輩にフォローしておいてよ。あたし学校生活穏便に過ごしたいの』
そう言って大斗達の前に座る。
あー弁当持って歩いてるときに会った先輩か?
大斗は前に告られていたが、さっくり断っている相手だ。
『はぁ…い。スミマセン。大丈夫だよ、あの先輩とは何もないし、うまく言っとく』
から、ほっとけよ…。
大斗は面倒臭そうに答える。
恭次は夕陽の発言にツボらしく、笑いをこらえている。
恭次にとっても大斗にこんなふうに話す子は珍しいのだろう。
『ひぃちゃん、最高だね♪俺達33人イイ友達になれそ』
『それに全く!!もう食べてるしっ!!』
恭次の言葉を軽く流して夕陽。