あかねいろ
『なかなかうまい。お前料理上手。』
大斗はそこにすかさず営業トーク。
夕陽は機嫌悪い顔も和らぎ、無言だがとても嬉しそう。
ふっ、単純。
『ひぃちゃん、こいつが人を誉めるなんて東京にゴジラ出没レベルで貴重だからぁ〜』
恭次は笑いながら言ってお弁当の唐揚げを横取る。
『テメッこの犬!!』
この野郎っ俺は食いモンにシビアだっ!!
ドスッ!!
大斗は恭次を睨み付け、脇腹に軽く一発いれる。
『イッテェ!!?ひぃちゃん、大斗怒っちゃったぁ〜食い意地すごいんだもん…。もうほんとーに最低なヤツなの』
お前が言うか恭次?!
『別に神崎君も恭次君もたいして変わらないわよ』
夕陽はサラリと大斗達を否定。
というか「最低」と肯定。
『そのせいで、今日1日始まったばかりなのに、杏や知らない先輩に色々聞かれるのよ?!』
それ俺のせいか?
『こっちもだしね、恭次のバカが、お前と何だってうるさいっ』
『ひどいッ大斗くぅん♪まぁいいじゃん、なんなら2人付き合っちゃえばいーじゃん♪』
恭次がポンと手を叩いた。
『『ありえない!!』』
すかさず夕陽と大斗の声が揃った。
笑えるじゃないか。
暑苦しいこんな日もたまにはいいかもしんねぇな。
言ってくれるよ片桐さん。
『イイよっ!!イイッ!!ひぃちゃん最高におもしろい!!だから大斗が隠してる昔話教えたげるよ、世界最強に最低だよ!!』
夕陽にかなりツボの恭次。
『コイツ中学の時、片っ端から手当たり次第に女の子引っかけて好き放題だったんだよ。ひぃたんもとって喰われんように気をつけてね♪大斗は全てにおいて荒れてたってもぅそんなレベルじゃないよ。ねぇ?』
ニヤニヤと大斗に同意を求める。
『バイク無免で乗り回して学校壊して。ほんと怖いって。つーかちょっとイッてたな、今思うと。だって顔とか危ない危ない。今じゃもう笑える伝説だけどさ』
恭次は一気に大斗の中学の話を暴露する。