あかねいろ
考えてみたら、恭次以外と親しく話す大斗をみたことがない。
彼は教室にいることも少なかった。
弁当を作ってきた日は屋上に行く。
だいたい彼はここにいるのだ。
まだ周りも夕陽が弁当を作らされてることはほとんど知らない。
あんまりバレたくない…。
予告無しで、夕陽の気まぐれで作るのだが、大斗は自分で買ってきたコンビニのご飯も弁当も必ず全て平らげる。
不思議なもので、カッコイイ男の子が目の前にいるのに、男の子として意識は相変わらずなかった。
多分、神崎君が最初からそういう感じにあたしに接する事がなかったからかな?
夕陽は自分でも不思議で考える。
夕陽には普段簡単に付き合えると感じる人達が、そういう意図を持って近づいてくる。
その考えは間違いない。
彼女は、それをわかっていつも架かっていたのだ。
だから大斗と居ると、可愛い子ぶる必要性もなく楽だった。
「男の子友達」
というのが初めてできた。
そんな気がしてなんだか嬉しかった。
日に日に、大斗も夕陽に暴露話をしてくるようになり
『昨日やった女はさぁー』
っと、感想をあれこれ言ってくる。
『あのねぇ、あたしも一応女の子よ。世の中の夢がなくなるわ』
彼はそんなのお構い無しだ。
大体は年上のお姉さんの誘いにノって、良い思いをさせてもらっていると言う。
『神崎君さぁ、お弁当作ってくれる人なんて、沢山いるじゃない?みんな喜んでやるよ。そういう人に頼めばいいじゃない?』
お弁当を作ってきた日の屋上で、黙々と食べる彼に言うのだが、大斗は箸を止め怪訝そうな顔で
『バカ。俺に好意が有るヤツに作らせるなんて恐いだろ、俺は平和主義だ』
「何をアホな事を」と言う感じで言われてしまうのだった。
『わからなくもないけど…納得はしたくない!!』
夕陽はムキになって言うのだった。